「どうぶつ しんちょうそくてい」
『ちょっと!ジャンプは しないでください。』
動物園の動物たちの身長測定のお話。いろんな動物が身長を測ります。
人間と一緒で動物たちも大きく見せたいものなのでしょうか。みんなこそっとズルをして…じゃないか、知恵をしぼってちょっとでも背を高く見せようとします。それを白衣を着たゴリラの係員がきちんと測定していきます。中には測定断念した動物もいましたが。
動物たちのちょっとした知恵を、ゴリラがズバッと測っていくやりとりが、ボケとツッコミみたいで面白いです。きっとあの頭に触れる目盛りの部分をズバッと降ろしているんだろうなーと想像できちゃいます。そして、測る方も知恵を絞らなきゃ測定できない動物も…。誰をどうやって図るのかは読んでのお楽しみです。
動物によって測り方を変えたり、測る道具を変えたり、動きがあって飽きない絵本だと思います。文字も多くなく、自分で読むのも苦にならなそう。身長を測るという決まったことの繰り返しなので、入園前の子供でも理解しやすく楽しめると思います。動物園へのお出かけの前後に読んであげたい絵本です。…このご時世、当分は我慢ですかね。
「どうぶつ しんちょうそくてい」
文/聞かせ屋。けいたろう
絵/高畠純
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「やきざかなののろい」
『きらわないでくれ~ ちゃんと たべてくれ~』
おどろおどろしい題名と表紙の絵本です。娘は、「これ恐いの…?」とおそるおそる手に取っていました。見た目の印象とは違い、怖くもなく面白いのでご安心を。
焼き魚が嫌いな少年が、食べたふりして焼き魚をぐちゃぐちゃにして残します。そこから焼き魚のストーキング開始。寝ても覚めても少年にまとわりつきます。ギョロ目の頭だけ形を保った、骨だけの焼き魚。これだけでもある意味恐怖ではありますが、ポップな絵のおかげで恐くは感じません。紆余曲折経て、最後には不思議と焼き魚大好きになるので、親としてはありがたい絵本です。
表紙は真っ黒なので恐そうですが、中身の絵はポップです。遠近法をがっつり使った焼き魚の躍動感が笑えます。めっちゃ飛びます。動きます。
小食&偏食の我が娘。お魚もあまり箸が進むメニューではありません。親としては何とか食べさせたい食材です。DHAとかなんとか…。お魚に限らず、食べ物の好き嫌いが始まったお子さん向けに、楽しく読める絵本です。娘は「これ、すごい面白いんだよ!怖くないから読んでみて!」とパパにおススメしてました。
「やきざかなののろい」
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「いくらなんでもいくらくん」
『みごとじゃ!みごとじゃ!いくらのおすしどの!』
江戸時代っぽい昔風のお話です。”なんでもや”のおすしのいくらくんと、お殿様のお話。
不思議な方法でお殿様の要望を何でも叶えてくれる、いくらくん。半信半疑だったお殿様も次第にいくらくんにゾッコンに。命令口調のお殿様とひれ伏す家来、に対して媚びずに「あいよ」付き合ういくらくんの掛け合いが面白いです。いくらくんに出させたブドウを食べたお殿様の、「ぶどうじゃ…」がウットリしてて最高です。
お殿様の欲はとどまることなく、それに対してしっぺ返しがくるような教訓めいたラストになるわけではないのですが、小学生くらいになるとそのへんの無限の欲に対する自重めいた教訓も受け取ることができるかもしれません。
内容の面白さもさることながら、この絵を見てもらいたい!いくらのツブツブがいっっぱい出てきます。いくらのお風呂とか圧巻です、ほんとに。
文字数的には多すぎず少なすぎず、低学年くらいまでたのしめそうです。セリフが昔風なため、4~5歳なら読み聞かせてあげたほうがスムーズかも。「みごとじゃ!みごとじゃ!いくらくん!」が何度も出てくることで、リズミカルに勢いづけて読むことができます。
「いくらなんでもいくらくん」
シゲタサヤカ
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「おいしいぼうし」
『じつは けさ このあたりで ぼうしを なくしてしまいまして…』
この作家さんを2冊借りたうちの、私がイチオシの一冊です。
表紙にあるように、透き通った茶色の何かをひろったおじいさんとおばあさん。ツヤツヤ、ぺとぺと、いい匂い。ぺろっとひと舐め…「おい!」「しい!」←ここ大好き。
そこにその謎の物体を探しに来た”お客さん”も現れて大混乱。そのドタバタっぷりが面白い一冊です。大切なものを落としてしまった”お客さん”の落ち込みっぷりが、体の震わせ方にも表れていてクスクスきます。なんせメチャクチャ震えてますから。さらに、グチグチと(失礼)落ち込んだ心情を延々と語ります。絵本なのに、こんな小さなフォントの大量の文字、なかなか見ないです。彼のブツブツ、グチグチっぷりが上手に表現されていて笑えます。おじいさんとおばあさんの焦りっぷりやアクティブっぷりにも、感心させられるやら可笑しくなっちゃうやら。
このツヤツヤの謎の物体、べっこう飴のようなスケルトン具合が上手く描かれていて感心します。表紙でまず惹かれてしまうほど。ありそうでなかったお話で、「なんだこれ?」というワケを知るまではちょっとしたミステリー?子どもにも大受けすると思います。
内容も言葉自体も決して難しくはないですが、結構文字数が多めなので自分で読むには難儀するかもしれません。”お客さん”のグチグチっぷりや、おじいさんやおばあさんのニュアンスも含めて、ぜひ読み聞かせてあげたい一冊だなぁと感じました。
「おいしいぼうし」
シゲタサヤカ
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「オニじゃないよ おにぎりだよ」
『にんげんども、さぞかし よろこぶだろうね!』
シゲタサヤカさんシリーズが続きますのでお付き合いを。
おにぎりが大好きな3人のオニのお話。まずいおにぎりを食べているらしいと勘違いし、人間たちにおいしいおにぎりを振る舞うことに。ところが人間はオニに恐れをなして逃げ惑うばかり。そこでオニたちが一計を案じます。
ツノを生やしたれっきとしたオニが、人間たちに恐れられているとも知らずにたっくさんのおにぎりを振る舞おうとするお話です。オニなのに(?)そのピュアさにキュンとしたり笑えたり、天然っぷりが面白いです。そして、オニたちが作るおにぎりの美味しそうなこと!具がいっぱいあるんです。シャケにたらこに混ぜご飯、シイタケや天むすまで!レシピを見ながら、いくつもの大きな釜で炊いたご飯を握ります。出来上がった山のようなおにぎりはちょっと見ものです。オニだからってみんなが恐いわけじゃないんですね。見た目や名前だけで判断しちゃいけないね。そんな見方をするとちょっと深い読み方もできそうです。
ページをめくるごとに場面が変わってその都度クスクス笑えます。今回はもう一冊同じ作家さんの絵本を借りましたが、娘はこちらの本のほうが「めっちゃ面白い!」とお気に入り。珍しく、「この絵本買いたい」とまで言い出しました。私はもう一冊のほう推しだったんですけどね。当たり前ですが好みはそれぞれですね。もう一冊のほうは次回書きとめたいと思います。
「オニじゃないよ おにぎりだよ」
シゲタサヤカ
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「コックの ぼうしは しっている」
『あたしゃ この めで みていたよ!』
親子で大好きな作家さんの絵本。「たべものやさん しりとりたいかい かいさいします」には今でもお世話になっています。
サボり癖のある、とんでもないウソつきコックさんのお話。失敗しても、嘘に嘘を重ねてしれっと切り抜けます。怒ったコックの帽子が嘘を暴こうとしゃべりだすお話です。このコックの嘘つきっぷりのすごいことすごいこと。すりつぶしたハーブを顔に塗って「具合悪い~」なんてやっちゃいます。最後には改心するので、絵本らしい幕引きにはなりますのでご安心を。
表紙の裏には、過去の嘘一覧がズラリ。”わるいおきゃくに わられてしまったおさら”やら、”どうしたことかちっともおいしくないパンプキンポタージュ”などなど…。これらの真相は、裏表紙の裏にズラリ。”コックがうっかりわったおさら”、”コックがレシピどおりにつくらなかったパンプキンポタージュ”。この一覧が結構面白いです。ズラッとならぶ中で、実はコックの嘘ではないものが2つ…。これらは他の作品で出てくる鍋やまな板の仕業のよう。そっちを読むのも楽しみになります。
嘘を暴く帽子のセリフが七五調で小気味いいのですが、娘は読むのに一苦労していました。”あたしゃ”とか、”ころんで たまごを わった ひにゃ”とか、日頃使わない言い回しや語彙が出てきます。セリフ以外にも、”怒りが頂点に達する”とか、”容赦しない”とか、ひらがなを目で追うにはちょっと難しい箇所がありました。大分読むのがスムーズになった5歳の娘も、少々苦労しながら読んでいました。自分で読むのももちろんいいのですが、この本は読み聞かせを通して七五調の小気味よさを味合わせてあげたい一冊です。”ほんとに ほんとに ほんとだね?”なんて読みやすいところは、本人もリズムを感じて楽しそうでした。
嘘はダメよ、のための絵本としてももちろんですが、単純にお話としても面白いです。小学生になっても十分に楽しめるお話だと思います。他の作品も読んだことのある人には、絵の中にキャラを見つけて嬉しくなるハズ。
「コックの ぼうしは しっている」
シゲタサヤカ
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「うさぎマンション」
『ようこそ うさぎマンションへ!』
娘がおそらく今までで一番大好きな絵本、「10かいだての おひめさまの おしろ」の作者の絵本を見つけました。この絵本を読んだことのある人には見覚えのあるうさぎ達がたくさんでてくるお話です。
うさぎ達だけが住む、屋上つき5階建てのマンション。24の部屋でできています。このなかなかこ洒落た素敵なマンションに、うさぎの一家がお引越し。マンションのすべての部屋を、横からのぞき見するような絵本です。シルバニアファミリーのうさぎのみマンションバージョンとでもいいましょうか。それぞれの部屋の日常を、時間を追って見れるのが楽しいのですが、人間のように子育て中やお料理中のお部屋もあれば、中にはとんでもないペットや植物と一緒に住むうさぎも。音楽会をしてる部屋もあり、人間界では考えられないほど大らかな世界のよう。中でも絵を描くのが趣味のようなお部屋では、絵筆を持ったままウトウト…の結果に自分でびっくりして飛び上がっています。可愛らしい。
とにかく24部屋それぞれの1日が見れちゃう、お得感たっぷりの絵本になっています。そして部屋ごとの説明があるわけではないので、自分で自由に眺めることができます。どうやら住民の中には魔法使いもいるらしく、最後には素敵なサプライズでおもてなししてくれます。
本の最後には、おまけとして”探してみようコーナー”があり、ウォーリーを探せ的な楽しみ方もすることができます。
絵本として読むだけなら、ほっこりする内容をさらっと読むことができますが、24部屋の暮らしぶりが見れることもあって(+さがしてみようのコーナーも含め)、じっくり時間をかけて読むには最適な一冊です。読み終わった娘の第一声は、「この本面白かったー!」だそう。探したりするのが好きなお子さんはお気に召すかも。
そういえば、先日書店で「10かいだての おひめさまの おしろ」の続編が発売されてました。今度は魔法使いのお話のよう。もちろん購入予定です。今から楽しみだー。
「うさぎマンション」
のはな はるか
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