「おいしいぼうし」
『じつは けさ このあたりで ぼうしを なくしてしまいまして…』
この作家さんを2冊借りたうちの、私がイチオシの一冊です。
表紙にあるように、透き通った茶色の何かをひろったおじいさんとおばあさん。ツヤツヤ、ぺとぺと、いい匂い。ぺろっとひと舐め…「おい!」「しい!」←ここ大好き。
そこにその謎の物体を探しに来た”お客さん”も現れて大混乱。そのドタバタっぷりが面白い一冊です。大切なものを落としてしまった”お客さん”の落ち込みっぷりが、体の震わせ方にも表れていてクスクスきます。なんせメチャクチャ震えてますから。さらに、グチグチと(失礼)落ち込んだ心情を延々と語ります。絵本なのに、こんな小さなフォントの大量の文字、なかなか見ないです。彼のブツブツ、グチグチっぷりが上手に表現されていて笑えます。おじいさんとおばあさんの焦りっぷりやアクティブっぷりにも、感心させられるやら可笑しくなっちゃうやら。
このツヤツヤの謎の物体、べっこう飴のようなスケルトン具合が上手く描かれていて感心します。表紙でまず惹かれてしまうほど。ありそうでなかったお話で、「なんだこれ?」というワケを知るまではちょっとしたミステリー?子どもにも大受けすると思います。
内容も言葉自体も決して難しくはないですが、結構文字数が多めなので自分で読むには難儀するかもしれません。”お客さん”のグチグチっぷりや、おじいさんやおばあさんのニュアンスも含めて、ぜひ読み聞かせてあげたい一冊だなぁと感じました。
「おいしいぼうし」
シゲタサヤカ
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