絵本ですくすく

5歳から娘と毎日お気に入りの絵本探し。絵本の感想日記。現在7歳。

「わたしのわごむはわたさない」

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『やっぱりみんなじぶんだけのたからものがほしいのね。』

 

娘も私も大好きなヨシタケシンスケさんの絵本。本当にこのくらいの子供の思考回路を拾うのが上手だなぁと思います。

子供ってなんで輪ゴムとかのガラクタ(ごめん)が好きなんでしょう。輪ゴムにアルミホイルの芯にお菓子の包み紙…。おさがりでもみんなのものでもなく、自分だけの宝物!って考えると腑に落ちます。勝手に捨てると怒るんですよね。捨てたことにも気づかれるとは。

絵も字も可愛らしいくて読みやすいです。この方の絵本にでてくるお母さんの様子も大好き。優しくて天使のようなお母さん、というよりは日常を過ごしながらの一部を切り取ったリアル感がちょっと私を安心させます(笑。 愛情あるぶっきらぼう感。そんなにいっつも優しく笑顔で接してられないのよ。

自分だけの輪ゴムへの思いをどこまでも広げる壮大な妄想に、娘も私も笑いながら読めた絵本でした。

 

「わたしのわごむはわたさない」

ヨシタケシンスケ


 

「へいわとせんそう」

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『へいわのまち せんそうのまち』

 

 戦争という概念の導入にちょうどいいかなと思い借りた本です。タイトルの通り、平和と戦争がページ上で対比して描かれています。「へいわのチチ」はお家で遊んでくれるけれど、「せんそうのチチ」は銃を片手に戦っている、といった風に。

でてくる人物の表情が喜怒哀楽に満ちていないのがリアル。どちらの状況でも、それが日常であり、これが当たり前になるのがそれぞれ”平和”と”戦争”の状態であるんだと感じます。

絵は全て白黒で、文も含めて極めてシンプルな作りになっている分、親子で会話しながら読み進められる絵本です。というか、5歳児には少しずつ導きながらじゃないと少し難しい。娘は自力で理解したページはごくごく一部でした。最後の方は大人にとっても考えさせられるページが続きますが、その辺はまだ理解できていないと思います。

我が家では、”戦争”という言葉自体を知らなかった娘に、できるだけ客観的に伝えることに重点をおきました。どう感じるかは本人に任せられるように。どうやら、今の時点では、”嫌なこと”、”寂しいこと”だという感覚にはたどり着いたようで、口に出していました。今はこれで十分だなと思っています。

文字が読めるようになったらすぐ読める本なので、5歳の今、意味がわかりきらなくても読ませて良かったと思います。折にふれて何度も読んで、年齢に応じた感じ方のできる深い絵本でした。もちろん、小学生で手に取るのも十分にありだと思います。我が家は購入して長く読ませる予定です。とっつきにくいかな、と心配していましたが、意外にもその後何度も手に取って眺めていました。普段手に取る絵本との雰囲気の違いはあるものの、そのことが逆に興味につながっている様子でした。 

 

「へいわとせんそう」

たにかわ しゅんたろう ぶん

Noritake え


 

「はらぺこカマキリ」

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『おなか ペコペコ、でも ガマン!』

 

おかあさんといっしょ”の歌をもとにした「はらぺこカマキリ」です。番組で放送されたのはだいぶ前なのですが、当時娘が大好きになった歌です。Eテレの”香川照之の昆虫すごいぜ!”の、香川さんが扮するカマキリ先生が作詞したそう。

カマキリ先生のこの番組が大好きで、最初に見た時はその熱量にびっくりしました。昆虫への愛が凄すぎ(笑 知識も愛も学者のよう。でも確かに、ここまでの愛とはいかなくても、昔は昆虫とか普通に見れて自然に観察めいたことができてたなぁ。カマキリの卵とか誰かが必ず教室に持ち込んでたし(←たいてい孵化して大騒ぎになる)、トンボの交尾や産卵の様子とか毎年普通に視界に入ってたし。そう考えると今の子供は触れる機会が確実に少なくなっているかも。

絵本の内容はほとんど歌詞の内容をなぞったものです。お腹を空かせたカマキリが、『うごく もの、どこかに いないかな…。』さらっと弱肉強食を匂わせますが、アリさんだってミツバチだって一生懸命みんなのために働いているから食べられない…と切なく語ります。ただ、歌詞そのままではなく、絵本として整えた感じになっています。最後にはフルコーラス分の歌詞つき。絵は”おかあさんといっしょ”に使われたものを切り取ったものが使われています。

もともとこの歌が大好きな娘が選んだのすが、絵本としてみたら5歳には幼いかな。3~4歳が一番楽しめそうな内容です。

ちなみに、カマキリ先生によると、交尾後に雄のカマキリが雌に食べられちゃうことはあんまりないらしいです。

 

「はらぺこカマキリ」

作 カマキリ先生

絵 クモトリ


 

「こんぶのぶーさん」

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『さっそく ふたりは まんざいの けいこを はじめました。』

 

 実はこの本を借りるのは2回目です。図書館に通うようになってから、最初に好きになった作家さんの絵本です。他にも食べ物シリーズで何冊かあり、私はこの本と”さくらもちのさくらこさん”、”くしかつさん”のお話が好き。何回読んでも面白い。

海から上がったこんぶのぶーさんが、漫才師を目指す突拍子もないお話です。ちなみにこの作者さんの絵本はみんな関西弁です。セリフが関西弁で描かれている絵本はたくさんありますが、この作家さんの絵本はそのまま読むだけで本当に関西弁っぽく聞こえるのが不思議。日本全国方言は様々あるなかで、関西弁ってなんだか特別な憧れがありませんか。活字でマネしても、棒読みにしか聞こえないのですが、この作者さんのセリフをそのまま読むとそれっぽく聞こえるので自己満足しています。関西弁と全く縁のない人生を送ってきたので、本場の方が聞いたら怒るかもしれませんが。

漫才の相方さがしや、練習の様子、人間よりも人間っぽいぶーさんが面白いです。さし絵は絵の具っぽいのですが、これ水彩?油彩?水彩っぽいにじみがあるところと、油彩のような立体感を感じる所とがあって、私のようなド素人には判別つきません。でも味のある絵で好きです。ぶーさんや他の食べ物に顔は描かれていないのですが、絵の感じで心情がつたわってくるのが面白すぎます。

 

漫才の掛け合いがわかる年齢なら楽しめると思います。そう考えるともしかして、関西圏の子は入園前から楽しめたりして…。ちなみにうちは5歳の娘がくすくす笑ってました。絵本自体のサイズも小ぶりで、手に取りやすいシリーズです。

 

「こんぶのぶーさん」

岡田よしたか/さく


 

「どんぐりむらの だいくさん」

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『ぼく、おおきくなったら だいくさんに なる!』

 

幼稚園にこのシリーズがあるとのことで、娘が選びました。可愛らしい見た目ですが、内容はボリュームたっぷりです。大工さんがあっちこっちで活躍するお話で、個人的にはステンドグラス調の遊具がとってもステキ。本の最後には仕掛け絵本でページが倍になっていて、大工さんの大仕事の成果をページいっぱいに見ることができます。読み聞かせる側としては、前半の同じページに複数の場面が描かれていることが多くちょっと大変でした。

たくさんのどんぐり達が出てくる中で、”くぬぎばあさん”は本当にクヌギの木のトゲトゲ頭のどんぐりの形なんだなーと思っていたら、裏表紙に登場人物の紹介がありました。なんと、全員木の種類ごとに描き分けてる!というかどんぐりってこんなに種類あったのか。注意書き曰く、”どんぐり”とは、ブナ科の木の実の総称らしいです。ほぉー。絵本は大人も勉強になりますね。

それから、「どんぐり新聞」なるものがふろく的についていて、本物の新聞のようなリアルな仕上がりになっています。これを読み込むだけでも結構時間かかりそう。裏表紙や新聞のおまけなど、じっくり読むには腰を据えて読みたい絵本です。

娘も一通り読み終わった後、 もう一度熟読してました。表の表紙裏に大工さんの工具についてクイズがあったためだったよう。読み終わった後はひとり大工さんごっこが開始されました。影響されやすいタイプ。

 

読み方によって楽しみ方が変わりそうですが、物語の内容を理解するだけなら園児の年齢全般に適していると思います。どんぐり新聞の楽しさやどんぐりの種類の違いまで読み込んで理解するには小学生のほうがすんなりいきそうなので、長く楽しめる絵本だと思います。

 

「どんぐりむらの だいくさん」

なかや みわ・さく


 

「ちか100かいだてのいえ」

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『いえのいりぐちは みずうみの むこうの かざんのふもとよ。』

 

「100かいだてのいえ」シリーズの続編です。2冊欲張って借りていました。

今回はお風呂好きなクウちゃんがパーティーのお誘いを受けます。火山のふもとから潜入したその家は、またも10フロアごとに違う生き物が住んでいるお家です。セミやアリ、モグラなど、それぞれの生き物がそれぞれ”らしく”住んでいます。今回招待されたパーティーは、どうやら住人のバースデーパーティーのようです。

内容には無関係ですが、じっくりと読み進めていたら…見つけました。ダンゴムシのフロアで。たくさんのスノードームをしまう部屋でスノードームを磨くダンゴムシ。丸いものつながりってことかな。そしてその中の1つは、なんと前作の「100かいだてのいえ」を模したスノードームじゃありませんか。作者の遊びごころを見た感じがして個人的にクスッとしました。もしかしたらじっくりみるともっと面白い発見があるのかも!と思える細かさがこの本の魅力です。

 

また続編を借りることが親子の中で決定しました。(が、今のところ貸し出し中なのか見当たりません(泣。)

 

「ちか100かいだてのいえ」

いわいとしお

 

 

ehondesukusuku.hatenablog.com

 


 

「どろぼうがっこう ぜんいんだつごく」

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『くまさかせんせい だつごくって どんなもんですか。』

 

タイトルからして穏やかではないこの絵本も娘が手に取った絵本です。親としてはいささか不安を感じるチョイスセンスですが…。

作者のかこさとしさんといえば、あの「からすのパンやさん」の作者です。おいしそうなパンがズラッと並んでて、子供の頃大好きだったなあ。そういえば、最近お亡くなりになったニュースの記憶があると思い、検索したら2018年でした。長く執筆された作家さんだったんですね。

どろぼうがっこう出身者のみんなが刑務所で過ごしているところから始まるのですが、この絵本は続編だったんですね。前作で全員刑務所に入った模様。あとがきを見ると、続編に取りかかる際、あんまりみごとな脱出法をかいてもし手本になったらマズいと悩んでいたら40年もかかったとのこと。作者のチャーミングな人柄がうかがえるあとがきでした。

タイトルの通り脱獄を企てるお話なのですが、これは5歳には難しい!文章量が多いこともさることながら、刑務所の概念が皆無でキョトン、言い回しの古めかしさでキョトン、掛け言葉などの言葉あそびでさらにキョトンでした。本人曰く、幼稚園にもあるらしいのですが(じゃあ借りなくてもよくない?)、読み聞かせするのだろうか…。登場人物たちは、どろぼうといえどどこか憎めないオトボケっぷりを発揮しているのですが、人数が結構いるので把握しきれず、まず前作を読みたくなりました。

 

内容を理解することに加えクスッと笑えるためには、この絵本は小学生向きだと思います。娘も最後まで聞いていましたが、たぶん分かってないです(笑

あとがきによると、前作を出版したときには親御さんから”子によんでやるのにいちばんよかった”との評をもらったとのこと。前作と合わせてもう少し大きくなったらぜひ読ませたい1冊になりました。

 

「どろぼうがっこう ぜんいんだつごく」

作・絵 かこ さとし